新・新・からすの掲示板

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1月に読んだ6冊 - みなみ

2019/02/19 (Tue) 19:13:35

『抱擁』日野啓三(小学館P+D BOOKS)
得体のしれない不動産屋に誘われた主人公は、不思議な少女や不気味な老人の暮らす洋館に、見入られたようにいりびたることに。
典型的な幻想小説の舞台設定。
いまにもナニかが起こりそうなムードで、最後までひっぱられてしまいました。
このあと作者は「都会小説」ならぬ「都市小説」へと作風を変えていったのでした。

『十三の物語』スティーブン・ミルハウザー(白水社)
この人の短篇は、いつも職人芸をおもわせます。
たとえるなら、精巧にできたミニチュアル・ハウスをのぞきこむようです。
手のこんだ細部に感心するものの、さて、感動するかといわれると、う~ん。
でも、好きな作風なので、このショーケース的な作品集、たんのうしました。

『現代の地獄への旅』ディーノ・ブッツアーティ(東宣出版)
中編の表題作の主人公は、作者のブッツアーティ自身。
ミラノの地下鉄の工事現場で見つかった扉のむこうは、なんと地獄だった!
ところが、この地獄、現実のミラノと寸分違わないように見えたのだが。
ブッツアーティの未訳短篇も、のこり少なってきたみたい。
落穂ひろいの感なきにしもあらずですが、続巻もきっと読んでしまうでしょう。

ドラ3木浪って、そんなにイイのか? - みなみ

2019/02/22 (Fri) 16:57:43

『方壺園』陳舜臣(ちくま文庫)
神戸在住だったこの人のミステリを読むのは、たぶん初めて。
舞台は新旧の中国で、トリックは密室がらみが多いです。
正直言って、編者がもちあげるほどの面白さは伝わらなかった。
もう1冊ぐらいは、傑作選がでたら試してみます。

『あひる』今村夏子(角川文庫)
”のりたま”と名付けられたあひるがやって来たおかげで、近所の子供たちがやって来るようになった。
ところが、病気になった”のりたま”が動物病院から戻ってきたら、ひとまわり小さくなっていた。それから、子供たちのふるまいが変わってきて、やがて。
一見、児童文学のような肌触りだが、日常生活にひそんでいる不安や恐怖が、じわじわと迫ってくる。
ほかの2篇「おばあちゃんの家」「森の兄妹」も、形容しがたい不気味なムードがたちこめている。
大好きな吉田知子さんに似ているところもあります。
もっと読みたい書き手です。

『ダイアモンド 因数猫分解』伊藤重夫(アイスクリームガーデン)
男の子が髪の毛を立てている。
ここで描かれているのは80年代の神戸なのか。
震災前の三ノ宮や元町が舞台のセットみたいだ。
カラーページは、ながめているだけで楽しい。
女の子たちが、とってもキュート。
きっと、あの頃の海岸通りを闊歩していたんだろう。
クラウドファンディングによる出版で、賛同者一覧のなかには、村上知彦さんと川勝徳重さんの名前も見えます。
限定950部。わたしは、心斎橋のスタンダードブックスで見つけました。オススメします。

2019年1月に読んだ本 - からす

2019/02/04 (Mon) 13:44:07

『重版出来(12)』松田奈緒子(小学館)
『海街ダイアリー』吉田秋生(小学館)
『古本屋台』Q.B.B.(集英社)
『雨はこれから ①』東本昌平(モーターマガジン社)

『そこへ行くな』井上荒野(集英社文庫)
『しずく』西加奈子(光文社文庫)
『うつくしい人』西加奈子(幻冬舎文庫)
『円卓』西加奈子(文春文庫)
『ふくわらい』西加奈子(朝日文庫)
『わたしの彼氏』青山七恵(講談社文庫)
『雪の鉄樹』遠田潤子(光文社文庫)
『寒椿』宮尾登美子(中公文庫)
『運命のひと』山本甲士(小学館文庫)
『舟を編む』三浦しをん(光文社文庫)

Re: 2019年1月に読んだ本 - からす

2019/02/17 (Sun) 09:16:25

 『重版出来』、相変わらず漫画の、製作と編集の裏側を見せ続けてくれる。
 今回は、「紙と電子」にも踏み込んでいた。

 『海街ダイアリー」 は最終章。「やっぱりな」という大団円ではあったが、それはそれで爽やかで気持ちがよろしい。

 『古本屋台』、当初は仿書月刊に連載されていたそうで、あの人とかそれからあの人なんかも登場する。

 『雨は これから』、『キリン』の東本昌平の最新作…だと思うんだけど、こんなの出てるの知らなかった…と思ったら、連載の媒体は「Mr.バイクGB」というバイク雑誌で、単行本はコミックコードではなく、「ムック」で出ていたのだった。
 中高年バイク親父の、最後のあがきの日々、のお話し。

Re: 2019年1月に読んだ本 - からす

2019/02/17 (Sun) 09:48:48

 相変わらず、井上荒野と西加奈子が「マイブーム」なのだった。

 何気ない日常の、その底に沈む恐怖とか不安とか狂気を描き出すのが、井上荒野はうまいのだけど、短編だと、それがますます冴えてくるような気がする。
 『そこへ行くな』の中では、

 西加奈子は、「子供」を描かせると天下一品、だと思う。
 なので、今回の4冊の中では『円卓』が最高に面白かった。
 バリバリの大阪弁全開の「こっこちゃん」の日常、抱腹絶倒です。

 この妙にシニカルである意味シュールな子供の描きかた、前にどこかで見たことが…と思い出したのは、森下裕美の漫画だった。
 似てるわ、ホンマに。

 『ふくわらい』『うつくしい人』には、子どもは出てこないのだが、いずれにも「変な人」が出てきて、西加奈子はまた、本人には全然自覚がないのだが、世間一般からはちょっとずれてる、「あ、いるいる、こんな人」という「変な人」もまた、うまいのだ。
 
 『しずく』は、いずれも「おんなふたり」状況を描いた短編集。
 人間の恋人同士男女の、それぞれ「連れ子」として同居することになった雌猫2匹の物語が、なかなかに味わい深かったです。
 
 青山七恵の恋愛小説も、一種独特な、「変な」空気観に満ちている。
 でもそれが結構心地よかったりも、するのだった。

 『雪の鉄樹』、初めて読む作家だったのだけど、重い…あまりに重すぎる。
 原罪意識があまりに過剰で、「そこまで思いつめんでも…」と何度も思ったぞ。

 娼妓と口入れの世界を描かせると、やはり宮尾登美子、さすがです。
 昭和戦前から1970年代にわたる、4人の女それぞれの、生生流転の物語。

 山本甲士『運命のひと』は、日本版「ニュー・シネマ・パラダイス」。
 読み終えた後、高倉健の任侠映画を、再び見たくなる小説だった。

 『舟を編む』、映画は見たけど原作は読んでなかったので、読んだ。
 「巻末付録」の「ラブレター全文公開」、わはは、と
笑いました。

小牧さんへ からす

2019/02/17 (Sun) 09:53:00

 小牧さん、近くなりましたら、またメールなりTELなりくださいな。

 土日だと、ただいまのわしは、昼間は仕事ではあるのですが。

 念のためメルアドをこの書きこみにつけておきます。

 わしのTEL番号は変わっておりません。が、以前の携帯がクラッシュしたときに、電話帳データが全て消滅したので、小牧さんのTELは、ただいま当方にはわかりません。

1月の - 小牧

2019/02/02 (Sat) 23:13:54

許されざる者 レイフ・GW・ペーション 久山 葉子 創元推理文庫
日本の同時代小説 斎藤美奈子 岩波新書
飛田ホテル 黒岩重吾 ちくま文庫
ゴールデン街コーリング 馳星周 角川書店
数字を一つ思い浮かべろ ジョン・ヴァードン 浜野アキオ 文春文庫
偽りの銃弾 ハーラン・コーベン 田口俊樹・大谷瑠璃子 小学館文庫
無痛の子 リサ・ガードナー 満園真木 小学館文庫
消えた子供 トールオークスの秘密 クリス・ウィタカー 峯村利哉 集英社文庫

Re: 1月の - 小牧

2019/02/11 (Mon) 22:07:45

なぜ山へ行くのか。山が来ないからだ。
雪を期待して蛇峠山へ行ったが、ほとんど積雪はなく、スノウシューもアイゼンも不要だった。登り口手前の寒原峠の気温の表示はマイナス7度だった。手袋をしていても指先が凍えて、手袋を外して摩擦で温めなければならなかった。南アルプス、中央アルプス、御嶽ばかりか、槍・穂高まで見えた。これを見に来たのだ。

『許されざる者』解説に、スウェーデン大使館の人が、本国で人気なのになぜか日本で紹介されていない筆頭、というシリーズだと言ったという作家のミステリ。読みやすくて、登場人物のキャラは立っているし、メチャメチャ面白かった。なぜか、シリーズの最後の作品。もっと翻訳してくれ。

『日本の同時代小説』斎藤の姐さんは相変わらずスルドく論じてくれていますねえ。現代の日本文学を10年ごとに総括していて、最近の作家、自分よりかなり若い作家は私ほとんど読んでませんが、斎藤姐さんはちゃんと読まれているんですねえ。なぜか、奥田英朗が言及されていなかった。それは、ちょっとちょっと、あかんのとちゃう。

『飛田ホテル』解説を、難波利三という人(この人も直木賞作家だそうだ)が書いていて、黒岩重吾は、この人の師匠だそうな。で、黒岩重吾は、クルーザーなんかを持っていて、という話が書かれていて、このくらいの作品で、昔の作家はクルーザーを持てたのかと、びっくりしました。そこかい、とツッコまれそうですが、そこです。

Re: 1月の - 小牧

2019/02/11 (Mon) 22:10:01

『ゴールデン街コーリング』馳星周の自伝的青春小説。ゴールデン街の酒場“マーロウ”を舞台に酔っ払いたちが繰り広げるドラマ。“マーロウ”はもちろん“深夜+1”だし、斉藤顕は内藤陳だし、北海道から東京へ出てきた坂本青年(坂東齢人=馳星周)が、マーロウのバーテンとしてバイトしながら、内藤陳さんの酒癖の悪さやら、恋やら、殺人事件の捜査やら、物書きとしてのデビューへの足取りやらをつづった小説。知ってる、というか、思いあたる人がいっぱい登場するのも面白かった。深夜+1では、亡くなった「噂の真相」の岡留安則さんを見たことがあります。

『数字を一つ思い浮かべろ』マジック的トリックを使ったミステリ。泡坂妻夫さんの作品を思い出したぜ。

『偽りの銃弾』ハーラン・コーベンって。コーベンですよ。ベーコンでなく。タイトルの意味が最後にわかる。びっくり。

『無痛の子』タイトルに反し、イタイ話。連続殺人犯の娘、これがまた殺人犯として、刑務所に捕えられていて、設定自体がもう無茶苦茶異常で、アメリカには普通の人はおらんのか。

『消えた子供』アメリカには普通の人はおらんのか、と思ってたら、アメリカの小さな町の普通の人々の話だった。ところが、犯罪などとは無縁のこの町で、3歳の男の子が消えるという大事件が起こった。母親や近所の住民のふるまいが丹念に描写されていく。なかなかに見事な作品だと思う。書いたのはイギリス人。じっくりと書き込まれる作風はやはりアメリカというよりイギリスですね。

「何の雑誌」の5、6、7号が本棚にあったので見てみたがうらたじゅんさんは載っていなかった。64歳って、再来月には私も64です。ご冥福をお祈り申し上げます。

人生いろいろで、3月30日(土)に親戚の結婚式が神戸であります。この機会に、六甲山に登る、のではなく、みなさんに会えればと思ってます。

悲しいです。 - みなみ

2019/02/09 (Sat) 18:16:20

うらたじゅんさんが7日、亡くなられたそうです。
もうガンを克服されたとばかり思いこんでいました。
まだ64歳なのに。
もう個展会場で、あの笑顔にお会いできなんて。
ご冥福をお祈り申し上げます。

幻堂出版から出た作品集で、偲ばせていただきます。

Re: 悲しいです。 - まりあ

2019/02/09 (Sat) 19:49:29

悲しいですよね。
寂しいですよね。
今日、お二人の訃報を知りました。

うらたさんが全ての束縛から放たれ解放されますように。残されたご家族、ご友人に光がさしますように。

哀悼 うらたじゅん - からす

2019/02/09 (Sat) 20:18:16

 みなみさんの書き込みで初めて知りました。
 まだまだこれから新境地を開いてくれると信じていたので、とてもショックです。

 最後にお会いしたのは、何年前でしょうか…京都で、確か南陀楼さんのイベントだったと思います。
 相変わらず、キャハキャハ笑って元気でした。

 この掲示板にも、「ちんぽ」連発の書き込みをしてくれたこともありましたっけ。
 とてもうらたさんらしい、元気な書き込みでした。

 「嵐電」とか「真夏の夜の怪人二十面相」も好きですが、わしは、「何の雑誌」に発表した「ちんちんばしら」と「つうてんかく物語」が、一等好きでした。

2018年12月の本 - からす

2018/12/31 (Mon) 22:06:14

『電話・睡眠・音楽』川勝徳重(リイド社)
『むか~しむかしの ①』柘植文(講談社WIDE KC)

『ジャパニーズ・ベースボール』W.P.キンセラ/田中敏・訳(DHC)
『馬車は走る』沢木耕太郎(文藝春秋)
『通天閣』西加奈子(ちくま文庫)
『地下の鳩』西加奈子(文春文庫)
『ほろびぬ姫』井上荒野(新潮文庫)
『ウォーム・ボディーズ ~ゾンビRの物語~』アイザック・マリオン/満園真木・訳(小学館文庫)
『誘拐』本田靖春(文春文庫)
『木漏れ日に泳ぐ魚』恩田陸(文春文庫)
『夏のロケット』川端裕人(文春文庫)



Re: 2018年12月の本 - からす

2019/01/05 (Sat) 21:57:16

 そーなんですよ、みなみさん。
 川勝徳重は、「架空」出身の作家なんですよ…ってじつはわしもそれを、京都マンガミュージアムの吉村教授から教わったんですが。
 webマガジン「トーチ」での対談では、今は「架空」の編集を西野さんから引き継いでもいるようですね。

 内容に関しては、「とりとめのない」と言うよりも、つげ義春や安部慎一、あるいは鈴木翁二の模倣から始まって、次第に自分のスタイルに行きついた、その変化の過程と、わしは見ました。
 「送れてきたガロ少年」は、70年代「ガロ」の模倣から、フランスBD風(表題作がこれですね)の表現に至って、さらにまた変化しようとしている、とわしは見ました。
 その「変化」の兆しが、すでに『冬の池袋、午後5時から6時まで』に現れています。
 今後がとても楽しみ。

 ちなみに、「トーチ」の対談で、大学で「夏目房之介教授の薫陶を受けた」とありましたが、だとすると、学習院出身?

Re: 2018年12月の本 - からす

2019/01/14 (Mon) 19:02:54

 『むか~しむかしの』は、「子供に読ませなくてもいいお話し集」という副題の通り、柘植文による、子どもに読ませたら間違いなく歪む…あるいはトラウマになってしまうお伽話の新解釈物語。
 セレブになって小人たちの恩も忘れた白雪姫が、その傲慢さからお城を追い出され、小人たちのもとにすごすごと卑屈に帰ってきたり…
 なかなかに香ばしいお伽話が満載です。

Re: 2018年12月の本 - からす

2019/01/14 (Mon) 20:06:04

 『ジャパニーズ・ベースボール』は、『フィールド・オブ・ドリームス』のキンセラの得意分野でもある“野球ファンタジー”短編集。
 キンセラにかかると、80年代の横浜大洋ホエールズも、ファンタジーに昇華してしまうのだ…と思ったが、これはしかし、どっちかつーと、トム・セレックと高倉健が共演した90年代の映画『Mr. Baseball』みたいな話だった。

 『馬車は走る』は、例の「疑惑の銃弾」事件を、沢木耕太郎がどう捕えたか、を知りたくて、わざわざ単行本で入手。文庫にはなってなかったのだった。
 あの三浦和義が逮捕されたとき、その直前まで会っていたのが沢木だった、とは、この本で初めてしった。

 ミナミのぼったくりバーで「チーフ」を務める若い女は、最近男と別れたばかりで、かたや百均向けの製品を造る下請け町工場に努める中年男は、何の接点もないのだが、この二人の日常が交互に綴られて、読者には、次第に二人の関係性が明らかになってくるのだが、しかし二人はそれぞれに接点がないまますれ違って…
 と、いうのが『通天閣』だけど、こういうの、うまいわ、西加奈子。

 『地下の鳩』もまた、同じく大阪・ミナミで働く人々はまったく他人なのだが、緩やかに関係性を持っていて、それぞれを描いたオムニバス。
 地下鉄心斎橋駅の、やたらに高いドーム天井が、とても印象的に使われている。

 西加奈子とともに、井上荒野もまた、追いかけています。
 日常が、小さな傷から次第次第に大きく引き裂かれていく感じ、とても怖い。

 『ウォーム・ボディーズ』は、知らんかったが映画にもなってるらしい。
 ゾンビが生きてる女との恋に目覚める話。
 ちょっと「なんだかな…」的ご都合主義も、多々あった。

 『誘拐』は再読。「吉展ちゃん事件」の深層をえぐったノンフィクション。
 再読でもやはり、ぐいぐい読ませる力があった。

 『木漏れ日に泳ぐ魚』、話題作らしいが、いまいち「ぴん」とこなかったです、はい。

 『夏のロケット』、漫画の『我らコンタクティ』(森田るい)は、これをネタ元にした…のかな?
 高校時代の悪友たちが、再開を機に高校時代の夢であった宇宙ロケットの打ち上げを、自分たちだけで、当然非合法でやってのけてしまうお話。
 なかなかに痛快なのだけど、それなりのリアリティーを与えるディテールもまた、しっかり構築されていたのだった。

12月に読んだ本 - みなみ

2019/01/05 (Sat) 12:27:40

『諧調は偽りなり(下)』瀬戸内寂聴(岩波現代文庫)
『美は乱調にあり』からつづく、辻潤、大杉栄、伊藤野枝をめぐる伝記小説の完結編。
大杉は、いわゆる「人たらし」。野枝も、あるタイプの異性を強烈にひきつける女性だったようだ。
ただし、わたしがもっと知りたくなったのは、大杉に野枝を寝取られた、元祖ダダイストと呼ばれた辻潤です。
いわゆる「日蔭茶屋事件」で、大杉に斬りつけた神近市子のことは、以前読んだ、鎌田慧による大杉の評伝では、なんてイヤな女性なんだ!と思ったのに、今回は大杉と野枝に人生を狂わされた、哀れな犠牲者と感じました。
年末、さんまさんのバラエティーに寂聴さんが出演していた。
再放送らしいが、御年96歳。まだ徹夜で原稿書きされることがあるとか。ア然とするのみ。

『ロゴスの市』乙川優三郎(徳間文庫)
大学の同窓で、翻訳家の男性と同時通訳の女性の恋愛小説。
先月読んだ現代モノの短編集は、人生の一断面をあざやかに切りとって、間然するところがなかったが、この長編も素晴らしい。
海外小説の翻訳は、作者の仕事に匹敵するか、さらに上回るのではないかとすら、思えてきました。
「泣ける小説」という惹句は、ものほしげでキライですが、この長編にはグッときました。オススメします。

『電話・睡眠・音楽』川勝徳重(リイド社)
からすさん、わたしも、コレ読みましたよ。
『ガロ』的なマンガを志向する若い人(92年生まれ)がいたことにうれしくなりました。
ただ収録作はバラエティー豊かというか、いささかとりとめない。藤枝静男や梅崎春生をマンガにするとはビックリ。
わたしは「私マンガ」ともいうべきPRAT3が気に入りました。
東京で一人暮らしする女性の一夜をえがいたタイトル作は、平成最後のアベシンのおもむきがある。
『架空』を発表舞台されていたとは知りませんでした。
ビニールに包まれた表紙にひかれて買いました。

長野までも! 12月に読んだ本② - みなみ

2019/01/07 (Mon) 19:17:52

『日本の同時代小説』斎藤美奈子(岩波新書)
1960年代から2010年代までの現代小説の総まくり。
ほとんど死滅したと思いこんでいた純文学は、わたしが勝手にエンタメ系に区分していた書き手たちが、請け負っていたことを教えられました。
90年代まではかなり読んでいるのに、2000年以降はさっぱりです。名前すら知らない書き手がいっぱい。
作品の評価はほとんどスルーしているものの、随所で「サイトウ節」がさく裂しています。
村上龍なんて、お調子モノ扱いです。
類書がないので、わたしは勉強になりました。

『金環食の影飾り』赤江瀑(小学館P+D BOOKS)
この人の筆にかかると、よく知っている京都の街並みが魔界に見えてきます。
男女の愛憎劇にすぎないのに、この世ならぬ夢幻劇めいてくるのも毎度のこと。
好き嫌いがはっきり分かれる作風ですが、わたしは時々無性に読み返したくなります。

『献灯使』多和田葉子(講談社文庫)
原発事故後の日本を舞台にしたディストピア作品集。
表題作は、国内の移動もままならず、ほぼ鎖国状態。老人はいつまでも死なず、かたや子供は登校する体力すらなく、死亡率が異常に高くなっている。
近未来SFといっていい内容だが、核戦争後の荒廃しきった地球の姿をえがいた遠未来SFをさんざん読んできた、SF少年のなれの果てとしては、まったくもって食い足りない。
中途半端な日常がダラダラとつづいている。だからこそ、リアリティーがあるといえるのかもしれないが。
『日本の同時代小説』で言及されていたので買ったのですが、期待はずれでした。
(当該箇所を確認したら、紹介だけでホメてはなかったのでした!)

開門神事、小走りしました! 12月に読んだ本③トメ - みなみ

2019/01/11 (Fri) 18:19:49

『親を送る』井上理津子(集英社文庫)

『夢みる葦笛』上田早夕里(光文社文庫)

この2冊のコメントがアップできません。
どれが、禁止ワードなのか、サッパリ見当がつきません。
なので、タイトルだけで失礼します。
12月に読んだのは、この8冊でおしまいです。

あれ~~? - からす

2019/01/11 (Fri) 19:06:36

 「禁止ワード」てのは、特に設定してないんですけどね。
 なんでだろ?

先月の - 小牧

2019/01/06 (Sun) 00:16:18

果断 隠蔽捜査2 今野敏 新潮文庫
終わりなき道(上) ジョン・ハート 東野さやか ハヤカワ文庫
終わりなき道(下) ジョン・ハート 東野さやか ハヤカワ文庫
鷹の王 J・C・ボックス 野口百合子 講談社文庫
K12峰遠征記 岩坪五郎編 中公文庫
石原吉郎の位置 新木安利 海鳥社
IQ ジョー・イデ 熊谷千寿 ハヤカワ文庫
カササギ殺人事件(上) アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 創元推理文庫
カササギ殺人事件(下) アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 創元推理文庫
山の本No105 2018年冬 白山書房

Re: 先月の - 小牧

2019/01/06 (Sun) 00:17:40

 なぜ山へ行くのか、って、行ってない。うーん。寒いし。

 豊田勇造さんのライブが名古屋の山山堂であった。山山堂は山ではないが、山の空気に満ちた店なのだ。

『果断』読みやすくて、面白かった。あの偏屈主人公が飛ばされた警察署で偏屈ぶりを発揮して活躍する。

『終わりなき道』えーと、面白かったと思うが、どんな話だったか。あー、最後のシーンはいかにもアメリカ的というか、スカッとしたねえ。

『鷹の王』これは憶えてるぞ。ジョー・ピケットの猟区管理官のシリーズだが、主人公は、今回は、盟友の鷹匠のネイトなのだ。ネイトを追う、すごい悪者がいて、それとの対決。

『K12峰遠征記』昔の、京大のヒマラヤ遠征記。複数の隊員の記録。

『石原吉郎の位置』シベリアで抑留されていた詩人石原吉郎の真実に迫るノンフィクション。石原吉郎は、うろ覚えだが、

 海は断念において青く
 空は応答において青い

とかいう、普通の頭では理解できない難解な作品を書いていた現代詩の詩人で、著者は正直にその詩作品の難解さを認めながら、石原吉郎のシベリア抑留体験などの経歴を追って、その真実に迫っている。
  
『IQ』現代版、西海岸版シャーロック・ホームズ、というか、ハードボイルドにホームズ的味付けをしたもの、という感じ、かな。

『カササギ殺人事件』私も読みました。上巻は、ほんとに、クリスティーそのもの。下巻、上巻をまるまる殺人の原因に使うという、こういってもなんのことかわからないと思うけど、本格の本格、という作品でした。まあ、本格好きには、よかったよね。

『山の本』いつものだ、まだ全部読んでないけど。たぶん、いつものとおりだろう。

というわけで、本年もよろしくです。

無題 - えいみ

2019/01/03 (Thu) 21:11:14

あけましておめでとうございます。

今年もいい本に巡り合えますように。

全然出没しなくなった犬山市のイノシシ、えいみです。

岐阜県では豚コレラでイノシシ禁猟のようですが。


ワタクシめに年賀状をくださった皆様へ、ごめんなさい私は今年出しておりませぬ。

いや出せないような状態なのではなく、まあそうなんですが、

現在ワタクシの母が絶賛衰退中でして、毎日病院通い中。

年賀はがきもすっかり買い忘れました。申し訳ございませぬ。

元気なうちが花ですね。今のうちにいっぱい本を読んでくださいませ。

みなみさま。「カササギ殺人事件」、まだ下巻のアタマなのに明日返却せねばなりません。

これから面白くなるんでしょうか・・・。ううう。

あけましておめでとうございます。 - みなみ

2019/01/05 (Sat) 12:32:17

えいみさんへ

下巻も、面白いですよ。
中絶した、クリスティばりの上巻の「犯人」だって、気になるでしょ?
うふふふっ。

Re: 無題 - からす

2019/01/05 (Sat) 21:30:42

 あらまあ、ご無沙汰でございます。

 岐阜の人だと思ってたのに、いつのまにか犬山人になっていたのですね。

 犬山には、その昔、1965年に行ったことがあります。
 わしは、9歳でした。
 前の年にできたばっかの新幹線で名古屋まで行って、名鉄で犬山まで。
 木曽川で鵜飼を見て、翌日明治村へ行った後、前の年にで開通したばっかの名神高速のバスで帰りました。

 元気でなくなっても、花はまだまだ咲いてます。

 わしは最近、最後まで読んでから、「あ、これ、前に読んだわ……」ということがタテツヅケにありましたが、初読のときには気付かなかったことに気づいたり、新たな感慨を引き起こされたりと、なんだか得をした気分にもなりました。

 それは、小説に限らず、映画でも漫画でも、同じ経験をしております。
 ことに、小説と漫画で、以前とは違う、新たな発見をすることが多いです。

 これもまた、小牧さんの言う「老人力」なのかしら?

11月に読んだ本 - みなみ

2018/12/24 (Mon) 12:02:53

遅くなってごめんなさい。
大そうじ中につき、書名だけで失礼いたします。

『太陽は気を失う』乙川優三郎(文春文庫)
『ちちんぷいぷい』松山巌(中央公論新社)
『その雪と血を』ジョー・ネスポ(ハヤカワミステリ文庫)
『美は乱調にあり』瀬戸内寂聴(岩波現代文庫)
『諧調は偽りなり(上)』瀬戸内寂聴(岩波現代文庫)
『ヌメロ・ゼロ』ウンベルト・エーコ(河出文庫)
『新版 犬が星見た ロシア紀行』武田百合子(中公文庫)
『カササギ殺人事件(上・下)』アンソニー・ホロヴィッツ(創元推理文庫)
『SAVVY12月号』(京阪神エルマガジン社)

オオスメは、時代小説の書き手として知られる乙川の、現代モノの短編集と、年末のベストテンを総ナメにした『カササギ』。
ジョー・ネスポは一気に読める中編サイズで面白かったけれど、もはや記憶があいまいです。
雑誌『SAVVY』は、京阪神の本屋さん70店を特集した1冊でした。

やっと年の瀬気分かも? - みなみ

2018/12/24 (Mon) 23:08:52

からすさんと小牧さんが読まれた本も読みたいなあ!とは思っているのですが、おっさんになると、決まりきった作家やジャンルになってしまって、まことにごめんなさい!
それにしても、夢中になった小説も1週間もすれば、ほとんどおぼえていないのは、情けないかぎりです。
それでも来年も読みつづけるはずです。

ちょっと早めですが、みなさま、心穏やかな年末年始をお迎えください。

11月の本 - からす

2018/12/01 (Sat) 19:27:44

『メタモルフォーゼの縁側(2)』鶴谷香央理(カドカワデジタル)

『飛田ホテル』黒岩重吾(ちくま文庫)
『よろしく』嵐山光三郎(集英社文庫)
『つやのよる』井上荒野(新潮文庫)
『雉猫心中』井上荒野(新潮文庫)
『結婚』井上荒野(角川文庫)
『きのね(上・下)』宮尾登美子(新潮文庫)
『ららら科学の子』矢作俊彦(文春文庫)
『最後の真実』リズ・アレン/森沢麻里・訳(集英社文庫)
『夏の沈黙』ルネ・ナイト/古賀弥生・訳(創元推理文庫)

Re: 11月の本 - からす

2018/12/23 (Sun) 10:11:37

 電子書籍のアプリは、KINDLEとコミックシーモアの2種を使っているのだが、読み返そうとしたとき、どれがどっちに入ってるのか、分からなくなって混乱することがある。
 KINDLEの方が使い勝手がいいので、こっちに統一するかな?
 活字本も一緒に置いておけるし…って、活字は紙の方が読みやすいので、あまりないのだけど。

 『メタモルフォーゼの縁側』、2巻が出た。
 これはKINDLEなのだった。

 婆ちゃんは、コミケにも行ったりなんかして、ますますBLにはまり込んでいくのだが、そのハマってるBL漫画の作者「コメダ」さんも登場してきて、2巻では、あまり婆ちゃんの過去に触れられることもなかったので、その辺も含めて、展開がますます楽しみなのだった。

 みなみさんに触発されて、あ、わしも再読したい…と買った『飛田ホテル』だったのだが、読んだと思ってたら読んでなかった。
 わしが読んだのは『西成山王ホテル』だった。
 こちらの方が、「黒岩的西成」色が強かった…かな。

 『よろしく』、嵐山光三郎は、今や「老人小説」の大家でもある。
 老いた息子が、当たり前だがもっと老いた父親を見送る話。
 結構、きます、「じ~~ん」が。


 一筋縄ではいかない男女のお話し…が、井上荒野には多いのだけど、『つやのよる』『雉猫心中』『結婚』、もまた、3点すべたがそうだった。

 この「一筋縄ではいかなさ』加減は、最近にわかに話題の沼田まほかるにも通じるな。
 ところで、井上荒野は「こうや」じゃなくて「あれの」と読んで、これが本名なのだ、というのは、最近知った。
 凄い名前をつけた、その親の小説も、読んでみたいなと思っている今日この頃。

 『きのね』、モデル小説だけど、そのモデルが、よく許したな、という内容だ。
 歌舞伎界の相関が、じつによくわかりました。

 『ららら科学の子』もまた、「読んだ」と思ってたら実は読んでなかった。
 ネットで調べると、あまり評価は高くないのだが、60代以上には、かなり「来る」ぞ、これは。
 一種の「浦島太郎」物語で、『傷だらけの天使』と同じ系譜の作品ですね。

 『最後の真実』、アイリッシュ・ミステリーなのだ。
 イギリスや北欧には「レイプ」をテーマやモチーフにしたミステリーが多いように感じるのだが、これもそうだった。
 レイプによって引き起こされる「血の呪縛」は、かつての横溝正史作品にもよくあったテーマですね。

 『夏の沈黙』、こちらはブリティッシュ・ミステリー。
 過去と現在が交互に語られるのだが、ふたつの物語がやがて交錯して、忌まわしい過去が炙り出されてくる。
 なかなかに読みごたえがありました。


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